登山用の地図やガイドブックなどに掲載されている「登山装備表」には必ず「ロープ5mくらい」や「靴ヒモ予備」などのロープもしくは紐が「△あると便利な装備」として載っています。
登攀用のロープやスリングなどのように生命や体重を預けるような強度は必要ないけれども、ある程度の強度があるこのようなロープ類は、壊れた道具の補修などに使えるだけでなく、登山やキャンプのいろいろな場面で非常に重要な活躍をするものです。
特にテントを使用する場合は、非常に便利なものです。
雪の上などで、ペグなどを埋め込んでテントの固定を行う場合には、絶対にこのような補助ロープの類は必要なものになります。
このような雪や砂の中に埋め込んだり、石にまわしたりして使用するロープのことを「捨て縄」などと呼んだりしています。(回収不能になる場合を想定してこんな名前で呼んでします。)
通常、メーカー出荷の段階で取り付けられている張り綱などは、設計上の「望ましい設営状態」を想定してセットされています。
フィールドでは必ずしもテントを「望ましい設営状態」で設営できない場合も多々あります。こうしたときに役に立つのがこうした「捨て縄」などと呼ばれる補助ロープなのです。
捨て縄を使ったテントの固定の例(こうした場合は率なの取り付け方も変えます)
こうした補助ロープなどは、テントをどのように使うのか。使う人のニーズ、使い方、フィールドの状態によって必要な長さや本数、太さなどが決まってくるものです。
だから補助ロープや捨て縄の既製品やメーカー純正品などというものは存在しません。必要な人が、自分のニーズや、想定されるフィールドの状態に合わせて準備しなければならないものなのです。
どのような捨て縄が必要になるのか判断するためには、テントが使用されるフィールドへの想像力と、それ相応の経験が必要となります。
また、いくら「捨て縄」と呼ばれているからといって、使ったあとそのままフィールドに捨て置いてよいというものではありません。
自然のフィールドにはありえない原色の赤や黄色といったナイロンのヒモなどの残骸が放置されているのは見苦しいだけでなく、環境保全の意味でも大いに問題があります。
可能な限り、回収に努めなければならないのはもちろんのことですが、やむ終えず残置せざるおえない場合にはなるべく自然に還ることができるような素材を選ぶのも大事なポイントです。
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