外張は、海外のテントではあまり見ることのできない、ほぼ日本の山岳用テントにのみ見られる、特徴的なパーツです。
外張は保温力や耐風性能を向上させるために使われるパーツですが、それ自体で発熱するというようなパーツではありません。
時々、「外張をつければ夏用シュラフでも大丈夫なのか?」というご質問をいただくことがありますが、そのようなことはありません。 外張をつけても冬の山のテントの中は寒いのです。
また、外張を装着すると、テント内部の温度は何度℃上るのかというご質問もいただきますが、これについては具体的なデーターはございません。その理由は計測するための条件および状況があまりに多岐に渡るために客観的な計測を行うことがほぼ不可能なためです。
外張はテント本体をすっぽりと覆いこむことで、テント内部の熱は逃げ難くなり、外気温の影響もフライシートよりも受け難くなります。また、風に対しても裾部分からの巻き込みなどを防ぐことができるので耐風性能と保温性能の向上に役に立っています。
外張にはフライシートと異なるいくつかの特徴があります。
以上の特徴を持つ外張には以下のような弱点があります。
このような弱点、特に耐水性能に問題があるため、雨や霙(みぞれ)のような水分が多い雪が降ることが想定される時期や場所での使用には向きません。
エアライズやベーシックドームのようなダブルウォールのテントの場合、新雪期や残雪期に使用すると、場合によってはテントの中がびしょ濡れになる可能性があります。
このような時期には、たとえ雪が降っていてもフライシートのほうが耐水性能の上では有効な場合が多いということを覚えておいてください。
つまり、外張が有効に使える時期はかなり限られているわけです。
厳冬期といわれている時期の、雨の降らない標高の高い雪山でのみ外張はその性能を発揮することができるのです。
ヒマラヤなどの高所や。北海道や東北信越以外の地区では、よほど寒くて雪が多くなければ外張は有効に使えない可能性があります。
なお、外張はテント全体をすっぽり覆うため、通気性のある布地を使用していても、酸素欠乏などに陥りやすい場合があります。適宜ベンチレーターなどを利用して換気に努めてください。
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