出荷時のツェルトは缶ビールくらいの大きさの袋にびっしりとした感じで収納されています。初めてツェルトを使う人には、黄色やグリーンの布地が固まっているようにしか見えません。これではツェルトを使おうと思っても無理です。
緊急の時だと、かえってパニックになる場合だってあるかもしれません。
ツェルトを買ったら必ず袋(スタッフバック)から出してその構造を確認しましょう。
現在、日本で販売されている標準的なツェルトにはファスナーの出入り口がついています。(被るだけのタイプのツェルトにはファスナーが付いていないものもあるので注意してください。)
ほとんどのメーカーでファスナーは本体の布地とは異なる色のものが取り付けられています。これは入口を判りやすくするための工夫です。
入口が判ればツェルトの上下は判断できます。通常、ファスナーの上になる部分に筒状のベンチレータと呼ばれる換気口がついています。
これがいわゆる「ツェルトを被る」といった状態です。
ツェルトの中は収納されていた状態では想像できなかったほど大きな空間になっています。
そのままの状態で1~2分過ごしてみてください。自分自身の体温でかなり暖かくなってくるはずです。
標準的なツェルトの場合、床の長さは2m前後ありますので、一度に3~4人の人が床から「ツェルトを被る」ことが可能です。
ツェルトを袋から出したことが無い人に、その理由を尋ねると「元通りにたためる気がしなかった」言った人がいました。確かに小さな袋にびっしりと収納されている状態を見るとそんな気がするのも当然です。
実はツェルトは直線のみで構成されているので、たたみやすいものです。
天井の部分の両端をもってツェルトを広げてみると平らな「家」みたいな形になります。この状態で地面の上に置けばそのままピクニックシートのように使うことができます。
緊急時のビバークは、山でアクシデントに遭遇した際に行うものですから、本来は山でビバーク訓練をするのが望ましいことなのかもしれませんが、山岳会などに所属しない個人がいきなり一人で山でビバーク訓練をするというのはとてもハードルが高いことです。 ビバークってこんなものだという簡単な体験をするのならば、おうちの庭やベランダで夜、数時間ツェルトを被って過ごしてみるというのはどうでしょうか?
よく知っている環境の中で数時間のビバーク体験をしてみるというのはきっと有効な経験なのではないかと思います。また、こうした経験の有無が実際に山でのアクシデントにあった時に活きてくるはずです。
公園などの公共の場所でこのようなビバーク訓練をいきなりやると「不審者」と間違われて警察の職務質問の対象になる場合もあるので注意してください
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